前脊髄動脈症候群

前脊髄動脈症候群に対する鍼灸治療
 前脊髄動脈症候群（前脊髄動脈障害）は、脊髄の前方に供給する血流が不足または遮断されることによって、脊髄の前方部分（運動や痛覚を司る部位）が障害される疾患です。通常、脊髄前部の運動機能の低下、感覚障害、下肢の麻痺が特徴的です。主な原因としては、動脈硬化、血栓、外傷などが考えられます。

鍼灸治療の目的
1. 血流の改善と脊髄の栄養供給
2. 神経機能の回復と運動機能の向上
3. 筋肉の緊張を緩和し、麻痺や筋力低下を改善
4. 感覚機能の回復
5. 自律神経の調整とストレスの軽減

主要な鍼灸治療のアプローチ
1. 経穴（ツボ）の選択
🔹 血流改善と栄養供給
• 百会（ひゃくえ）（督脈）：脳や脊髄への血流を改善し、神経の活性化を促進
• 天柱（てんちゅう）（膀胱経）：首や背中の筋肉をリラックスさせ、血流を改善
• 膏肓（こうこう）（膀胱経）：脊髄への血流を促進し、脊髄の栄養供給を改善
• 足三里（あしさんり）（胃経）：全身の血流を改善し、エネルギーを高める
🔹 神経機能の回復
• 風池（ふうち）（胆経）：神経の調整を促進し、脊髄の機能回復をサポート
• 大椎（だいつい）（督脈）：脊髄の神経機能を回復し、痛みや麻痺の軽減を助ける
• 肘髎（ちゅうりょう）（小腸経）：脊髄や四肢の神経回復に効果的
• 陽池（ようち）（三焦経）：脊髄と神経系の活性化を促進
🔹 筋力回復と筋肉の緊張緩和
• 合谷（ごうこく）（大腸経）：筋肉の緊張を緩和し、運動機能を回復
• 後谿（こうけい）（小腸経）：腕や手の筋肉をリラックスさせ、機能回復を促進
• 三陰交（さんいんこう）（脾経）：筋力を補い、全身のエネルギーを高める
🔹 感覚機能の回復
• 内関（ないかん）（心包経）：自律神経の調整を助け、感覚機能の回復を促進
• 神門（しんもん）（心経）：神経の回復をサポートし、感覚や運動機能の改善を促進

2. 鍼の施術方法
• 置鍼（ちしん）： ツボに鍼を刺して、神経や筋肉の回復を促進します。置鍼は、血流改善やエネルギー供給を促すために使用されます。
• 電気鍼（でんきしん）： 低周波の電気刺激を用いて、筋肉や神経の活性化を促し、運動機能や感覚機能の回復をサポートします。
• 浅鍼（せんしん）： 鍼を浅く刺して皮膚や浅部の神経を刺激し、リラックス効果を高め、筋肉の緊張を緩和します。
• 頭皮鍼（とうひしん）： 頭部のツボを刺激して、脳や脊髄の神経機能の回復を促進します。

3. 灸治療
• 温灸（おんきゅう）： 身体の血行を促進し、脊髄への血流を改善するために温灸を使用します。
• 知熱灸（ちねつきゅう）： 軽い熱刺激で血行改善を促進し、神経の修復をサポートします。

4. 生活習慣とセルフケア
• 適度な運動： 血流を改善し、筋肉を強化するために、歩行や軽いストレッチを行います。
• 姿勢の改善： 脊髄への圧迫を避けるために、良い姿勢を保つことが重要です。
• 休養とストレス管理： ストレスを軽減するために、リラックス法（深呼吸、瞑想など）を実践しましょう。
• 栄養補助： 血流を改善し、神経修復をサポートするために、ビタミンB群やマグネシウム、カルシウムを積極的に摂取します。

まとめ
 前脊髄動脈症候群に対する鍼灸治療は、脊髄への血流改善と神経機能の回復を促すことを目的に行われます。特に、血流促進と神経の回復をサポートするツボを刺激し、筋力や感覚機能の回復を促進します。生活習慣の改善や適度な運動と併せて治療を行うことで、症状の改善や回復が期待できます。

治療時間：一回鍼灸治療時間は30分から60分
初診料：　３，０００円
料金：一回鍼灸治療4,500円から9,000円