症例の紹介

症例の紹介

本能性振戦

本能性振戦

 

 本態性振戦(Essential Tremor)は、特に明確な原因がないにもかかわらず発生する振戦で、多くの場合、手や腕、頭、声などに現れます。遺伝的要因が関与することも多く、動作時や緊張時に症状が強くなる特徴があります。鍼灸は、症状の緩和や全身のバランス調整に役立つ補完療法として有効です。

鍼灸治療の目的
1. 神経と筋肉の調整
筋肉の過緊張を和らげ、神経の過敏状態を緩和します。
2. 血流と気血の循環促進
気血の滞りを改善し、神経系の正常な働きを助けます。
3. 自律神経の安定化
緊張やストレスが症状を悪化させる場合、自律神経を整えて精神的な安定を図ります。
4. 体質改善
東洋医学的に「肝の過剰」「腎の虚弱」が本態性振戦の原因と考えられるため、これらを整えます。

鍼灸治療のアプローチ
1. 全身調整のツボ
本態性振戦は全身の気血の乱れや神経系の不調と関係しているため、以下のツボを使用します。
• 百会(ひゃくえ)
頭頂部にあり、自律神経を調整して精神を安定させます。
• 足三里(あしさんり)
消化機能を整え、全身の気血の循環を促します。
• 肝兪(かんゆ)
肝の機能を調整し、ストレスや神経過敏を緩和します。
• 腎兪(じんゆ)
腎を補い、体のエネルギーを整えます。

2. 振戦症状を緩和するための局所ツボ
振戦の部位に応じたツボを選びます。
(1)手の振戦
• 合谷(ごうこく)
手の震えを緩和し、全身のエネルギーを調整します。
• 曲池(きょくち)
上肢の気血の流れを改善します。
(2)頭や声の振戦
• 風池(ふうち)
頭部の血流を改善し、神経系を整えます。
• 翳風(えいふう)
声帯や喉に関連する神経を調整します。
(3)足や体幹の振戦
• 陽陵泉(ようりょうせん)
筋肉の緊張を緩和します。
• 太衝(たいしょう)
肝の過剰を整え、神経の興奮を鎮めます。

3. 治療法
• 鍼治療
ツボに鍼を刺して、気血の流れを促進し、神経伝達のバランスを整えます。場合によっては電気鍼(低周波電気刺激)を併用して筋肉や神経を刺激します。
• お灸
冷えやエネルギー不足が症状に関与している場合、お灸でツボを温めて気血の流れを改善します。特に「関元」「腎兪」などのツボにお灸を行うと効果的です。
• 指圧・マッサージ
軽度の症状には、指圧でツボを刺激するだけでも効果が期待できます。

日常生活でのセルフケア
1. ツボ押し
日常的に以下のツボを優しく指圧します:
o 内関(ないかん):ストレスや緊張の緩和に。
o 合谷(ごうこく):手の振戦を和らげます。
o 太衝(たいしょう):イライラや興奮を鎮めます。
2. ストレス管理
瞑想、深呼吸、ヨガなどのリラクゼーション法を取り入れます。
3. 温める習慣
冷えが振戦を悪化させることがあるため、入浴や温かい食事を心がけます。
4. バランスの取れた食事
神経をサポートするビタミンB群やマグネシウムを豊富に含む食品を摂取します。例:ナッツ、葉物野菜、全粒穀物。
5. カフェインの制限
カフェインは振戦を悪化させることがあるため、コーヒーやエナジードリンクの摂取を控えます。


治療頻度
• 急性期
週2~3回の治療を目安に、振戦の緩和を目指します。
• 慢性期
症状が落ち着いてきたら、週1回程度の治療を継続します。

注意点
1. 原因疾患の確認
 本態性振戦が疑われる場合でも、他の疾患(パーキンソン病や甲状腺疾患など)との鑑別が必要です。必ず医師の診察を受けてください。
2. 鍼灸の適応を判断
 鍼灸のみでは完全な治療が難しい場合もあります。西洋医学の治療と併用することで、より良い結果を得られることが多いです。
3. 個人差を考慮
 本態性振戦の症状や体質には個人差があるため、専門の鍼灸師に相談し、個別に治療計画を立てることが重要です。

 鍼灸は本態性振戦において、緊張の緩和や症状のコントロールに有効です。専門家の指導のもと、継続的に治療を行うことで生活の質を向上させることが期待できます。

 

治療時間:一回鍼灸治療時間は30分から60分
初診料: 3,000円
料金:一回鍼灸治療4,500円から9,000円