
球麻痺
球麻痺
球麻痺(きゅうまひ)は、延髄にある神経核が障害されることによって発生する病態で、嚥下障害、構音障害、言語障害、咀嚼障害、さらには唾液の分泌や呼吸にも影響を及ぼす場合があります。鍼灸治療は、これらの症状を緩和し、神経機能や筋肉機能の改善を促進する補助療法として役立つことがあります。
1. 治療の目的
• 嚥下や構音機能の改善: 延髄から支配される筋肉の機能を促進。
• 血流促進と神経再生の補助: 脳幹や末梢神経への血流を改善。
• 二次障害の予防: 筋肉の萎縮や拘縮を防ぎ、全身のバランスを整える。
• 生活の質の向上: 症状を軽減し、日常生活の利便性を高める。
2. 主なツボの選択
a. 局所ツボ
• 廉泉(れんせん): 顎下、嚥下機能や言語障害の改善を促進。
• 天突(てんとつ): 鎖骨上部、呼吸や咽頭の緊張緩和。
• 扶突(ふとつ): 頸部、嚥下に関わる筋群をサポート。
b. 神経調整のツボ
• 風池(ふうち): 頭部と頸部の接点、延髄の血流と神経機能を改善。
• 翳風(えいふう): 耳の後ろ、顔面神経や喉頭神経を調整。
• 天柱(てんちゅう): 後頭部、首と神経の緊張を緩和。
c. 全身調整のツボ
• 合谷(ごうこく): 手の甲、全身の調整と気血の流れを促進。
• 足三里(あしさんり): 膝下、エネルギー改善と免疫力向上。
• 三陰交(さんいんこう): 足首内側、内臓や神経のバランスを整える。
d. 補助ツボ
• 百会(ひゃくえ): 頭頂部、脳の血流と神経の働きを高める。
• 中脘(ちゅうかん): 胃腸の調整を促進。
• 気海(きかい): 臍下、全身のエネルギー循環を補助。
3. 治療の流れ
1. 問診と評価
o 症状の詳細を確認(嚥下障害、構音障害、呼吸困難など)。
o 症状の進行度や基礎疾患(脳血管障害、神経変性疾患など)を把握。
2. 鍼治療
o 廉泉、天突、扶突など、局所ツボに鍼を施す。
o 神経機能を促進するため、風池、翳風、天柱を補助的に使用。
o 全身の気血調整を目的に、足三里、合谷、三陰交を加える。
3. 灸治療
o 天突や気海、足三里に温灸を施し、全身の循環を改善。
o 百会や中脘への温灸で自律神経の調整を図る。
4. 電気鍼(必要に応じて)
o 喉周辺(廉泉、天突)に電気鍼を適用し、筋肉の機能改善を促進。
5. セルフケア指導
o 嚥下リハビリや口腔内マッサージを併用。
o ストレス軽減のためのリラクゼーション法を指導。
o 栄養管理や誤嚥防止のための食事指導(必要に応じて専門医と連携)。
6. 定期的な治療
o 症状に応じて週1~2回の治療を継続し、回復をサポート。
4. 注意点
• 基礎疾患(ALS、脳血管障害など)が原因の場合、医療機関との連携が必須。
• 呼吸や嚥下に著しい障害がある場合は、急性期治療や栄養管理が最優先です。
• 鍼灸治療は補助療法であり、リハビリテーションや薬物療法との併用が効果的です。
5. 期待できる効果
• 嚥下機能や構音機能の改善
• 筋肉の緊張緩和と萎縮予防
• 神経伝達の改善による運動機能の向上
• 全身の調整による生活の質(QOL)の向上
鍼灸治療は、球麻痺の症状緩和をサポートする有効な手段の一つです。ただし、原因疾患によって症状の進行や治療方針が異なるため、医療機関と連携しながら、総合的な治療を進めることが重要です。
治療時間:一回鍼灸治療時間は30分から60分
初診料: 3,000円
料金: 一回鍼灸治療4,500円から9,000円